
アメリカ英語とイギリス英語はどう違う?それぞれを学ぶメリットとは
目次
アメリカ英語とは?
アメリカ英語とは、主にアメリカ合衆国で使用されている英語のことを指します。
国連統計部(UNSD)が発表している2020年から2021年にかけての国別の人口データを見ると、アメリカの人口は約3億3千万人なので、世界で約3億人の人がアメリカ英語を話していると考えることができます。
アメリカ英語とイギリス英語の違い
発音
アメリカ英語とイギリス英語の発音における代表的な違いとしては、「t」・「d」の発音の違いと、「r」の発音の違いがあります。
まず、アメリカ英語では、「t」や「d」の音は通称「アメリカンT」と呼ばれる音声変化を起こします。
例えば、「better」という単語において、アメリカ英語では「フラップ」が起こるのに対し、イギリス英語では「フラップ」が起こりません。
また、「cart」という単語の発音の違いから分かるように、イギリス英語において「r」の音は母音の後ろでは発音されません。
そのほかにも、「可能である」という意味の助動詞「can」の発音や、「AとBのどちらか」という時に使う「either」の発音は、アメリカ英語とイギリス英語で異なるので注意が必要です。
さらに、「tomato」・「basil」・「data」など、アメリカ英語とイギリス英語で発音の違う単語はたくさんあります。
アメリカ英語の発音 | イギリス英語の発音 |
better /ˈbɛtər/ | better /ˈbɛtə/ |
car /kɑr/ | car /kɑː/ |
can /kæn/ | can /kən/ |
either /ˈiðər/ | either /ˈaɪðə/ |
tomato /təˈmeɪˌtoʊ/ | tomato /təˈmɑːtəʊ/ |
綴り
アメリカ英語とイギリス英語では、綴りの違う単語がたくさんあります。
日本の学校ではアメリカ英語を習うため、見慣れない綴りの英単語を見て戸惑った経験のある人も多いかもしれません。
しかし、かつてイギリスが多くの国を植民地として支配していた事情から、世界の国々にはアメリカ英語よりイギリス英語を公用語として採用している国が多いのです。
そのため、イギリス英語の綴りにも慣れておく必要があります。
以下に、アメリカ英語とイギリス英語とで綴りの違う単語の例を挙げます。
意味 | アメリカ英語 | イギリス英語 |
色 | color | colour |
中心 | center | centre |
組織する | organize | organise |
免許 | licence | license |
カタログ | catalog | catalogue |
英語は元々イギリスで誕生し、17世紀に始まったイギリスからの移民によりアメリカに伝わりました。
アメリカに伝わった英語はその後、ネイティブアメリカンや移民言語の影響を受けながら、独自に発展していきました。
一方、イギリス英語の綴りには、ノルマン・コンクエスト以来のフランス語の流入の影響が残っています。
また、アメリカ英語とイギリス英語の綴りの違いは、ノア・ウェブスター氏がウェブスター辞典を執筆する際に、実際の発音に沿った綴りを使用することで、アメリカ独自の英語の確立を目指したのも一因といわれています。
語彙
アメリカ英語とイギリス英語では、同じものを表す場合でも、違う単語を使う方が一般的な場合が多くあります。
以下に、アメリカ英語とイギリス英語で意味の異なる代表的な単語を挙げます。
意味 | アメリカ英語 | イギリス英語 |
エレベーター | elevator | lift |
秋 | fall | autumun |
アパート | apartment | flat |
ガソリン | gas | petrol |
歩道 | sidewalk | pavement |
文法
アメリカ英語とイギリス英語には、文法面でも少し違いがあります。
例えば、「たった今食べたよ」と言う時、アメリカ英語では過去形、イギリス英語では現在完了を使う傾向が強いです。
アメリカ英語では「過去に何か食べた」事実のみを表し、イギリス英語では「過去に何か食べた事実」と「現在の結果(今はお腹がいっぱい)」を結び付けて考えているといえます。
また、「何かを持っている」状態などに対しても、アメリカ英語ではシンプルに現在形で表すのに対し、イギリス英語では現在完了を使います。
アメリカ英語では「持っている」事実をそのまま表現するのに対し、イギリス英語では「(過去にペンを手に入れた、その結果)ペンを持っている」と、過去と現在を結び付けて考える傾向が強いようです。
そのため、「行かなきゃ」という表現はアメリカ英語では「I get to go.」を簡略化して「I gotta go.」と言うのに対し、イギリス英語では「I’ve got to go.」という表現になります。
省略や簡略化はアメリカ英語によくみられる特徴です。
そして、集合名詞を単数名詞として扱うか複数名詞として扱うかにも違いがあります。
「family」や「team」などの集合名詞では、アメリカ英語はその集団をひとまとまりと考えて単数名詞として扱います。
一方で、イギリス英語は個々のメンバーがいることを考慮して複数名詞として扱います。
さらに、過去形・過去分詞形の末尾の表記も違います。
アメリカ英語では、動詞の過去形・過去分詞形の語尾は「-ed」と学校英語で習ったと思いますが、イギリス英語では「-t」と表記します。
意味 | アメリカ英語 | イギリス英語 |
たった今食べたよ | I just ate | I’ve just eaten |
ペン持ってる? | Do you have a pen? | Have you got a pen? |
行かなきゃ | I gotta go | I’ve got to go. |
うちの家族は猫が好きです | My family loves cats. | My family love cats. |
考えたこともない | I’ve never dreamed. | I’ve never dreamt. |
ただし、これらの例はあくまで一般的な傾向であり、アメリカ英語やイギリス英語でも地域や話者によって異なる場合があります。
アメリカ英語・イギリス英語の文化的背景
このセクションでは、アメリカ英語とイギリス英語の違いが生まれた文化的背景について紹介します。
アメリカの文化的特徴
アメリカは移民の国であるため、アメリカ英語も様々な言語と影響しあっています。
複数の言語と影響しあった結果、「y’all」や「gotta」などの簡略化された俗語が多く生まれました。
一方で、発音などの面では、イギリス英語よりアメリカ英語の方が、古く伝統的な形を残しているともいわれています。
また、アメリカは科学技術やIT技術の進歩に重きを置いています。
そのため、新しい技術や概念に対応する言葉が頻繁に取り入れられ、政治やビジネスの分野ではFBI(Federal Bureau of Investigation)やNASA(National Aeronautics and Space Administration)など、多くの略語や頭字語が使われています。
そして、アメリカは個人主義の国であるため、アメリカ英語では直接的な表現を使って、自分の意見や感情をはっきり伝えることが重視される傾向にあります。
イギリスの文化的特徴
イギリス英語では、丁寧な表現や敬意を示す言葉遣いが一般的であり、形式張った表現が用いられる傾向があります。
また、イギリスは王室制度や貴族制度を重視し、その影響は言語にも及んでいるため、「her majesty(女王陛下)」や 「crown jewels(王冠の宝石)」など、王室や貴族の用語・表現が使われることがあります。
さらに、イギリスはイングランド・スコットランド・ウェールズなど、文化の違う地域によって構成されるため、英語にはコックニー訛りやスコットランド訛りなど数多くの方言があり、それぞれの発音は大きく異なります。
イギリス英語の発音を学ぶ際は、RP(Received Pronunciation)と呼ばれる標準的なイギリス英語のアクセントを学ぶとよいでしょう。
アメリカ英語とイギリス英語のどちらを学ぶべき?
アメリカ英語とイギリス英語にはそれぞれ違いがあるということを解説しました。
それでは、アメリカ英語とイギリス英語のどちらを学べばいいかというと、様々な国の人とコミュニケーションをとれるという意味では、両方学ぶのがベストです。
ただし、学習量が増えて負担を感じるという人は、滞在予定の国がどちらの英語を採用しているかや、学習目的に合わせて、一方を重点的に学習するのもよいでしょう。
アメリカ英語を学ぶ利点
日本の学校教育ではアメリカ英語を採用しているため、アメリカ英語の発音や音声は、比較的日本人になじみやすく、聞き取りやすいと言えます。
また、日本はアメリカの文化的影響力が強く、アメリカ初の映画や音楽などのコンテンツに触れる機会が多いため、英語への興味がわきやすく、モチベーションの維持もしやすいかもしれません。
アメリカ英語を学ぶ上で苦労する点
日本人が英語を学ぶ上でぶつかる壁の一つに、「イギリス英語が理解できない、聞き取れない」というものがあります。
日本人は英語といえばアメリカ英語をイメージしがちですが、世界の国にはイギリス英語を公用語として採用している国も多いため、アメリカ英語に慣れ親しんでしまうと、発音や綴りの違いに苦労することが多いようです。
また、アメリカ英語には独自のスラング的表現が多いため、アメリカの映画などを見て英語を学ぶと、アメリカ以外の地域で話がなかなか通じない可能性があります。
イギリス英語を学ぶ利点
イギリスは、英語発祥の地です。
そのため、イギリス英語を学ぶことで、英語の起源や文化的背景に触れることができます。
また、世界ではイギリス英語を公用語として採用している国が多いため、特に文章を書く際には、イギリス英語を学んでおいた方が世界的に理解されやすい可能性があります。
さらに、2018年のCEOWORLD誌の調査では、イギリス英語は「世界一魅力的なアクセント」にも選ばれています。
イギリス英語のRP(Received Pronunciation)は別名クイーンズ・イングリッシュとも呼ばれますが、特に非ネイティブの英語話者の憧れを集めているようです。
また、世界的な英語能力評価試験である「IELTS」でもイギリス英語が採用されており、特にリスニングで有利になる可能性があります。
イギリス英語を学ぶ上で苦労する点
イギリス英語の発音は、日本人にとってなじみが薄く、独特のアクセントもあるため、聞き取りにくい場合があります。
また、「Lovely!(いいでしょう!)」や「Rubbish!(ばかみたい!)」など、アメリカ英語ではあまり使わないスラング的表現が多いため、そういった表現に慣れ親しんでしまうと、アメリカ英語に応用しにくくなる可能性があります。
英語の発音の練習方法
アメリカ英語を学ぶにせよ、イギリス英語を学ぶにせよ、日本人訛りの英語より、ネイティブのようなかっこいい英語を話せるようになりたいですよね。
現代は発音を学ぶための様々なツールがあるので、気軽に練習することが可能です。
独学で練習する方法もありますし、プロの助けを借りる方法もあります。
いくつか方法を紹介します。
アプリを使ったトレーニング方法(独学)
英語の発音練習法として、専用のアプリをスマートフォンにダウンロードして利用する方法があります。
一般的には、ネイティブによるお手本の音声が流れ、後についてマネをすると、合格・不合格の判定がなされたり、100点満点で採点されたりします。
また、どの部分の発音を改善すればいいかフィードバックもされます。
有料のもの・無料のものなどいろいろなものがありますが、自分の好みに合うものを試してみるとよいでしょう。
YouTube等の動画を使ったトレーニング方法(独学)
Google検索で「英語 発音 動画」などと検索すると、YouTubeチャンネルを中心とした様々な動画がヒットします。
例えば、文科省が公開している動画では、英語の発音の基礎となる「フォニックス」を練習することができます。
動画では、実際にネイティブスピーカーがお手本の音声を発音しているところが見られるので、口の形などに注意して、何度も見返すと良いでしょう。
お手本の音声をマネした自分の音声を録音して聞き比べるのも効果的です。
コーチングを使ったトレーニング方法
発音トレーニングには、英語コーチングの利用もおすすめです。
英語コーチングでは、コーチが受講生の発音を聞いた上で、どこをどう改善すればいいか理屈で教えてくれます。
さらに、受講生の発音に対して適切なフィードバックがもらえるため、闇雲に練習するより効率的といえます。
英語コーチングサービスの中には、発音トレーニングに特化したサービスもあります。
英語の発音を上達させたいならミライズのハツオン
もし、アメリカ英語とイギリス英語を比較して、アメリカ英語の正しい発音を学ぼうと思ったなら、英語学習サービスを運営するMeRISE株式会社が提供している発音特化型英語コーチングサービス「ハツオン」がおすすめです。
世界中にはさまざまな英語が存在していますが、アメリカ英語はビジネスや教育現場で最も使われているアクセントの1つであり、アメリカ英語の発音が世界基準と認識されています。
そのため、アメリカ英語を学ぶことで、アメリカ英語以外の英語アクセントへ応用する際の基礎になります。
「ハツオン」の特徴は、2ヶ月の受講で驚くほどの変化が体験できることです。
週2回の講師とのレッスンと週1回の日本人プロコーチとの面談が、発音トレーニングを強力にサポートします。
最後に
アメリカ英語とイギリス英語の違いは、意外に大きいですよね。
どちらかが正しいとか間違っているということではないので、学習目的などに応じて好きな方を選びましょう。
ただ、グローバルなコミュニケーションのためには、両方の英語をマスターするのが理想といえます。