英語の発音を良くするには?伝わる5つの発音ルールと練習方法

発音ノウハウ|更新日 2023年7月30日
単語や文法の知識は十分にあるのに、発音がネックになってコミュニケーションに支障が生じているということはありませんか? 自分の発音が伝わらないのではないかという不安から、誤解を恐れて英語を話すのをためらっているという方も少なくありません。 実は、英語には、日本語にはない独特の発音ルールがあります。その発音ルールを理解した上で、正しく発音できるように練習を行えば、英語が驚くほど通じるようになり、また会話の理解度は格段にアップします。 本記事では、これから英語の発音に取り組む方が自然な英語の発音を身につけられるよう、学習の土台となる英語の発音のルールとともに、具体的な勉強方法について解説します。

目次

英語の発音を良くするために必要なこと

まず、英語の発音を良くするためには、「正しい知識を習得し、正しい方法で練習する」ことが重要です。具体的には、以下のポイントを押さえて学習を進めていきます。

  • 目指すべき英語の発音を知る
  • 英語の発音ルールを覚える
  • 声に出して練習し、自分のものにする

1. 世界で話される多様な英語の発音に触れる

第一に、世界ではさまざまな英語が話されており、正しい英語の発音なるものが明確に定義されているわけもないことを理解しておきましょう。

 

世界には英語を実用的に使用している人が15億人もいるといわれています。そのうち英語を母国語とするネイティブ話者は約3億8000万人ほどです。

なんとなくネイティブ=アメリカ英語 or イギリス英語と想像されがちですが、実は、英語を母国語としている国は何十か国とあります。出身国が違えば、ネイティブ同士でも発音の癖の違いで、慣れるまでお互いの英語が聞き取れないこともあるようです。

また、訪問する国・地域にもよりますが、ビジネスシーンではネイティブよりも非ネイティブと話す機会が多く、実際の現場で使われている英語は、必ずしも教科書やリスニング教材に収録されているような綺麗な英語ではありません。

これを念頭に置きつつ、日頃から多様な英語に触れ、その中でも目指したい英語の発音、誰にでも伝わりやすい発音がどういったものかに着眼してみるといいでしょう。

2. 英語の発音ルールを正しく学ぶ

世界に多様な英語があるとして、「正しい英語の発音って何?」「何を手本に練習すればいいの?」と混乱してしまうかもしれません。

実は、さまざまな英語が飛び交う中でも、共通する基本の発音ルールがあります。国や地域によって差はあるものの、共通する基本ルールを押さえておけば、個性として癖や訛りがありつつも、きちんと相手に伝わる発音で通じる英語を話すことができます。

詳しくは後述しますが、ヨーロッパ言語グループに属する英語の発音ルールは、日本語にはない音やリズムに由来するものが多いです。これが、私たち日本人にとっての大きな学習ハンデとなっています。だからこそ、学習初期から意識的に英語の発音ルールを学び、習得する必要があります。

3. 声に出して発音練習する

英語の発音に対して理論的な知識があるのと、自分の口でその音を発音できるかは別問題です。英語の発音に必要な口元の形状や舌の位置などを再現するには、実際に声に出して練習し、口元の形状や舌の位置、動作を身体に定着させなければなりません。

日本語と英語では、英語の方が圧倒的に音の種類が多く、また声の出し方も大きく異なるため、長年日本語に慣れ親しんできた私たちは、英語を正しく発音しようとすると、普段使わない唇や顔の筋肉を動かすことになります。

最初は思い通りに口の形を作れない…舌がもつれてしまう…といった状態になるのも無理はありません。筋肉が発達するまでコツコツ練習していれば、力まずにできるようになりますので、自分で英単語やフレーズを何度も声に出してトレーニングを継続しましょう。

英語の発音ルールとは?正しく伝える5つの基本

以下、言いたいことを英語で正しく伝えるために押さえておくべき5つの発音ルールを解説します。

  1. ストレスを置かれた音節は強く発音する(単語のアクセント)
  2. 単語と単語を連結して発音する(リンキング)
  3. 単語にもともとある音を発音しない(リダクション)
  4. 重要な単語を強く長く発音する(フォーカスワード)
  5. 特徴的な音声変化をするアメリカ英語の/t/(フラッピングなど)

英語の発音には、国や地域ごとに異なる細かい癖なども含めると、さまざまなルールが存在しますが、ここでは、その中でも知らないと聞き取ることが難しく、また非ネイティブでも流暢な話者であれば当然のように使う傾向にある代表的な発音ルールを抜粋しました。

1. ストレスを置かれた音節は強く発音する(単語のアクセント)

英語には、単語の特定の音節にストレスを置いて強く発音する「単語のアクセント」があります。このアクセントの位置(ストレスを置く音節)を間違えると、単語によっては聞き取ってもらえなかったり、別の意味の単語として受け止められたりします。

たとえば、”object” という単語は、”OB-ject [ɑ́bdʒekt]”と最初の音節にストレスを置くと、「物」という名詞になりますが、”ob-JECT [ɑbdʒkt]”と2番目の音節にストレスを置くと、「反対する」という動詞になってしまいます。

このように、ストレスの位置は単語によって異なり、意味を区別する役割も果たすため、英語では正しい単語のアクセントを押さえることは極めて重要です。

2. 単語と単語を連結して発音する(リンキング)

英語には、複数の単語の組み合わせや英文を読む際に、単語と単語をつなげて発音する「リンキング(連結)」というルールがあります。

たとえば、”part of a challenge”というフレーズは、一語ずつ「パート・オブ・ア・チャレンジ」とは発音されません。”part” の語尾の子音 ”t” と、次の語の ”o” が連結し、さらに ”of” の語尾の ”f” とその次の語の ”a” がくっついて「パートヴァ・チャレンジ」のように発音されます。

一度、このルールを意識しながら英語音声を聞いてみてみましょう。英単語は子音で終わることが多いこともあり、リンキングを頻繁に確認できるはずです。

3. 単語にもともとある音を発音しない(リダクション)

英語は、会話のスピードやリズムを整えるために、単語にもともとある音が、文の中で一部省略されたり弱化されたりすることがあります。

たとえば、よく聞く ”I don’t know.” というフレーズは、”don’t” の語尾の ”t” は発音されず、「アイ・ドン・ノウ」のように発音されますよね。子音の中でも破裂音(/t/, /d/, /p/, /b/, /k/, /g/)は、音の脱落が起こります。

子音脱落の例:If you need help with the project, you could talk to him.

ほかにも、“want to” → “wanna” のように、話す際に助動詞や否定語を短縮して発音したり、機能語(前置詞、代名詞、接続詞、助動詞、冠詞、数詞など)の音を一部省略して弱く発音したりすることがあります。

リダクションに関する詳細なルールや例題はこちらの記事でも解説しています。

4. 重要な単語を強く長く発音する(フォーカスワード)

英語では、文の中で特に強調したい単語やフレーズ(フォーカスワード)を、他の単語よりも強く長く発音します。これにより、聞き手はその単語の重要性を理解しやすくなります。

たとえば、”I GOT a new JOB.”では、意味を決める重要な単語 ”got” と “job” がフォーカスワードとなり、強く長く発音されます。

ただし、相手に自分が失業中だと思われていて直前で話が嚙み合っておらず、「(違う違う、)新しい仕事だよ!」と言うように、文脈上で話し手が ”new” を強調したい場合は、”I got a NEW job.”と発音されることもあります。

日本語でも少し大袈裟ですが「それ、ほんっっっっとうに好きなんです!」と強調して表現することがあると思います。その場合、英語でも ”I REALLY like it!” の ”really” の部分を “reaaaaaally” と強く長く発音します。

日本語では特に強調したい時にわかりやすい強勢を入れますが、英語では英文ごとにフォーカスワードがあることが多く、独特のリズムで読まれることに注意しましょう。

5. 特徴的な音声変化をするアメリカ英語の/t/(フラッピングなど)

アメリカ英語に限っての話ですが、/t/の音を含む単語には、特徴的な /t/ の音で発音されるパターンがいくつかあります。

パターンの一つがフラッピングで、/t/ の直前にアクセントが置かれている場合など、特定の状況下で /d/の音のように発音される /t/ があります。たとえば、“water” は、「ワーラー」や「ワーダー」のような発音に、また”city” は、「シリィ」「シディ」のような発音になります。

water[ˈwɔtər]

city[ˈsɪti]

他にも、息を止めて音を飲み込んだように /t/ の発音が消えるグロッタルストップは、”written”のように、/t/ の後ろに /n/ の音が来る場合に起こります。

written [ˈrɪtən]

important [ɪmˈpɔrtənt]

イギリス英語では、通常フラッピングは起こらず、/t/ははっきりと発音されることが多いです。アメリカンTについてはこちらの記事で詳細にまとめています。

以上のような発音ルールを理解し、自身でも実践することで、自然な英語の発音とリズムを習得することができます。

英語の発音記号を理解しておくことも上達の早道

先ほどご紹介した発音ルールにある英文中の音声変化を除き、英単語は、基本的に「発音記号(国際音声記号IPA)」に即して発音されます。

英語の音は、耳から学ぶこともできるため、発音記号を覚えることは必須というわけではありません。ただし、英語には日本語にはない音が多いため、日本語の音に慣れ過ぎている私たち日本人は、一つひとつの発音記号を学び習得しておくことを推奨します。

発音記号とは?

発音記号とは、英単語の発音を正確に表す記号です。英語の音の最小単位とも言え、知らない単語でも発音記号に沿って読めば正しく発音できます。日本語で言うところの漢字のふりがなのようなものです。

発音記号を覚えることの重要性

英語の発音記号を覚えること自体は、発音の上達に直結するわけではありませんが、発音記号を意識して発音学習を続けると、以下のような点でも非常に役立ちます。

ネイティブとのスムーズな意思疎通

まず、発音記号を活用して国際基準の発音を習得することで、ネイティブスピーカーとの意思疎通も英語でスムーズに行えるようになります。

ネイティブには、カタカナ発音や単語を並べただけの英語はほぼ通じません。自分たちが話している英語とかけ離れた音、また普段自分たちが発音しない音を意味のある英語として聞き取れないのは、日本人でも英語話者でも同じです。

カタカナ英語やブロークンイングリッシュでも通じたという経験談もあるようですが、それは相手が日本人が話す英語の癖を理解している場合に限ります。

非ネイティブの英語話者は、英語の音の多様性に慣れており、また自分がそうであるように相手にもアクセントがあることを前提に構えているため、なんとか理解してもらえることもあります。しかし、やはり聞き手に負担がかかり、時に誤解を招くこともあるため、正しく標準的な発音を身につけておくべきでしょう。

リスニング力の飛躍的な向上

言語学習には、「人は自分が発音できない音を聞き取れない」というセオリーがあります。たとえば、日本人にとって、英語の「L」と「R」の音を正確に聞き分けて発音するのが難しいのは、それらの2音を区別する音素が日本語に存在しないためです。

一方で、英語の個々の音素を正確に発音できるようになると、リスニング力は飛躍的に向上します。自分で英語を発音することで、単語の正しい発音やストレスのパターン、音声変化など、英語特有の音やリズムを身をもって理解できるはずです。

英語学習の効率化

正しい発音の習得は、言語の実用4技能すべてに影響を与え、全体の学習効率を高めます。発音学習でもっとも直接的に効果が見られるのはスピーキングですが、上述したように、リスニング力の向上にも重要な役割を果たします。

さらに、正しいアウトプットを行うには、大量のインプットが欠かせませんが、リスニングで培った自然な表現を使ってライティングを行うことができます。また、発音の知識は単語のスペリングを正しく記憶するのにも役立つでしょう。

リーディングでは、意味のまとまりを意識して英文を読んでみましょう。たとえば、”I went to the office / to meet him.” といった区切りをつけることができます。このまとまりは、フォーカスワードが軸とされており、英語の発音知識を身につけておくことで、英文をどこで分ければいいかが感覚的にわかるようになります。

このように、正しい発音の習得は、英語学習全体の土台作りとも言え、「読む・書く・聞く・話す」の英語の4技能全てを底上げする効果があるのです。

英語の発音記号一覧|発音のコツを音声付きで解説

以下、英語の発音記号全40種(母音16音・子音24音)を、すべて音声付きで解説します。多いと感じるかもしれませんが、日本語に存在する音や近い音、有声音と無声音のペアで覚えられる子音もあって、意外と一気に覚えられます。すでに習得済みの音はスキップしてもらって大丈夫です。

母音16音

日本語の母音は、「あ・い・う・え・お」の5つしかありませんが、英語には合計16個の母音があり、下記の3つのグループに分類することができます。

  • 短母音:短く発音する母音
  • 長母音:長く伸ばして発音する母音
  • 複合母音:複数の母音を組み合わせて発音する母音
短母音 長母音 複合母音
/æ/(例:apple [æpl])

/ʌ/(例:up [ʌp])

/ɑ/(例:want [wɑnt])

/ǝ/(例:support [səˈpɔrt])

/ɪ/(例:finish [ˈfɪnɪʃ])

/ʊ/(例:book [bʊk])

/ɛ/(例:bed [bɛd])

/i:/(例:sleep [sliːp])

/u:/(例:food [fuːd])

/ɔ:/(例:talk [tɔ:k])

/ǝ:r/(例:leader [ˈlidər])

/aɪ/(例:time [taɪm])

/aʊ/(例:how [haʊ])

/eɪ/(例:say [seɪ])

/ɔi/(例:boy [bɔɪ])

/oʊ/(例:know [noʊ])

短母音/æ/

日本語の「ア」と「エ」の中間のような音です。軽く顎を下げて唇を左右に広げて開け、音を喉の奥で響かせます。

例:chance [ʧæns]

例:afternoon [ˌæftərˈnun]

短母音/ʌ/

日本語の「ア」に近い音です。口を大きく開けすぎず、軽く顎を下げて短くはっきり発音します。

例:but [bʌt]

例:come [kʌm]

短母音/ɑ/

日本語の「ア」と「オ」の中間のような音です。 口を大きく開け、 唇を少し丸めます。

例:not [nɑt]

例:want [wɑnt]

短母音/ǝ/

強いて言えば、「ア」「ウ」「エ」「オ」の中間のような音ですが、日本語のどの母音ともつかない曖昧な発音です。口を少しだけ開けて力を抜き、そのまま喉の奥から空気を出します。

例:office [ˈɔfəs]

例:listen [ˈlɪsən]

短母音/ɪ/・/i/

日本語で言うと「イ」と「エ」の間のような音です。唇を軽く横に広げて、顎も軽く下げ、 短めに発音します。

例:give [ɡɪv]

例:decide [ˌdɪˈsaɪd]

短母音/ʊ/・/u/

少し「オ」に近い「ウ」の音です。日本語の「オ」の形をイメージしながら唇を丸めて、短めに発音します。

例:good [ɡʊd]

例:woman [ˈwʊmən]

短母音/ɛ/・/e/

日本語の「エ」に近い音です。軽く顎を下げながら口を開けて発音します。

例:tell [tɛl]

例:next [nɛkst]

長母音/i:/

日本語の「イ」に近い音です。唇を横に引っ張るように開き、長めに発音します。

例:leave [liːv]

例:feel [fiːl]

長母音/u:/

日本語の「ウ」に近い音です。唇をしっかり丸めて前に突き出し、長めに発音します。

例:school [skuːl]

例:group [ɡruːp]

長母音/ɔ:/

少し日本語の「ア」に近い「オ」のような音です。日本語の「オ」より少し口を縦に大きく開きます。そして舌の付け根に少し力を入れ、顎を固定したまま発音します。

例:call [kɔl]

例:already [ɔlˈrɛdi]

長母音/ǝ:r/

/ǝ:r/は日本語にない発音です。少し開いてアヒル口のような形をとり、舌先を少し丸めてスプーン状にして舌の側面を上顎に沿わせながら、喉の奥の方向にスライドしていきます。

例:dinner [ˈdɪnər]

例:learn [lǝrn]

複合母音/aɪ/・/ai/

日本語でいうと「アーェ」のような音です。強く長めに日本語の「ア」を発音しながら徐々に顎を閉じて弱く短い「ェ」に移行していきます。

例:buy [baɪ]

例:light [laɪt]

複合母音/aʊ/

日本語の「アーゥ」のような音です。強く長めの「ア」から、顎を閉じて弱く短い「ゥ」の音を、流れるようにつなげて発音します。

例:house [haʊs]

例:down [daʊn]

複合母音/eɪ/・/ei/

日本語の「エーィ」のような音です。唇を少し大きく開いて、強く長く「エ」を発音しながら、徐々に顎を閉じて弱く短い「ィ」になるよう、なめらかにつなげます。

例:famous [ˈfeɪməs]

例:train [treɪn]

複合母音/ɔɪ/・/ɔi/

日本語の「オーェ」のような音です。口を大きめに開いて長めに「オ」を発音し、徐々に顎を閉じながら弱く短い「ェ」へと移行します。

例:join [ʤɔɪn]

例:oil [ɔɪl]

複合母音/oʊ/

日本語の「オーゥ」のような音です。唇を丸めて強く長めに「オ」を発音したのち、軽く顎を閉じながら弱い「ゥ」へと移行します。

例:slow [sloʊ]

例:over [ˈoʊvər]

子音24音

子音は、大きく「有声子音」と「無声子音」に分けられます。無声音は息(空気)だけで音を作り、有声音は息の音に加えて喉から声も出して発音します。

無声子音 有声子音
/k/(例:scared [skɛrd]) /g/(例:graduate [ˈɡræʤuɪt])
/s/(例:success [səkˈsɛs]) /z/(例:magazine [ˈmæɡəˌzin])
/ʃ/(例:chef [ʃɛf]) /ʒ/(例:genre [ˈʒɑnrə])
/m/(例:remember [rɪˈmɛmbər])

/n/(例:happen [ˈhæpən])

/ŋ/(例:king [kɪŋ])

/tʃ/(例:coach [koʊʧ]) /dʒ/(例:general [ˈʤɛnərəl])
/h/(例:downhill [ˈdaʊnˈhɪl])
/p/(例:workplace [ˈwɜrkˌpleɪs]) /b/(例:absent [ˈæbsənt])
/f/(例:different [ˈdɪfərənt]) /v/(例:available [əˈveɪləbəl])
/r/(例:error [ˈɛrər]) /l/(例:able [ˈeɪbəl])
/t/(例:target [ˈtɑrɡət]) /d/(例:document [ˈdɑkjəmɛnt])
/θ/(例:thorough [ˈθɜroʊ]) /ð/(例:smooth [smuð])
/j/(例:yesterday [ˈjɛstərˌdeɪ])

/w/(例:twice [twaɪs])

以下、口元の形状はほぼ同じで、有声音と無声音に別れる音を合わせて紹介します。

/k/ と /g/

口の形は日本語の「ク・グ」と同じく、喉を意識して舌の付け根を上げ、瞬間的に破裂させる音です。/k/は息だけで破裂させ、/g/は息だけでなく声もはじき出します。

例:cover [ˈkʌvər]

例:grow [ɡroʊ]

/s/ と /z/

上下の歯の隙間から「スーッ/ズーッ」と勢いよく摩擦させる音です。上下の歯をくっつけ、舌はフラットな状態で、/s/は歯の隙間から息を強く出し、/z/は息だけでなく声もはじき出します。

例:system [ˈsɪstəm]

例:zero [ˈzɪroʊ]

/ʃ/ と /ʒ/

口の形は日本語の「シュ」「ジュ」と同じです。/ʃ/は息を吐くだけで「シ」のような発音をし、/ʒ/は喉から音を響かせて「ジ」のような発音をします。

例:push [pʊʃ] 

例:usually [ˈjuʒəwəli]

/m/ と /n/ と /ŋ/

「ンー」とハミングするイメージで鼻から息を抜けるような有声音です。

/m/は、両唇を強めに閉じ、鼻から息を抜くように「ンー」とハミングしながら軽く口を開けます。

例:money [ˈmʌni]

例:human [ˈhjumən]

/n/は、舌先を歯茎の裏に付け、鼻から息を抜くように「ンー」とハミングしながら歯茎の裏から舌を離します。

例:know [noʊ]

例:plan [plæn]

/ŋ/は、軽く口を開いて舌の付け根を上げ、音の響きを鼻で感じながら、鼻から息を抜くように「ンー」とハミングします。

例:young [jʌŋ]

例:drink [drɪŋk]

/tʃ/ と /dʒ/

日本語の「チュ」の口の形をとります。舌は口の天井についた状態で唇を丸めたまま摩擦させ、/tʃ/は息だけで「チ」のような発音、/dʒ/は喉から音を響かせて「ジ」のような発音をします。

例:watch [wɑʧ]

例:large [lɑrʤ]

/h/

口を軽く開け、喉の奥から勢いよく息を出します。口の奥に息を当てるイメージです。

例:clubhouse [ˈklʌbˌhaʊs]

例:hot [hɑt]

/p/ と /b/

両唇を付けて軽く巻き込み、そして瞬間的に破裂させます。/p/は息を吐くだけで、/b/は破裂と同時に喉で音を震わせます。

例:price [praɪs]

例:break [breɪk]

/f/ と /v/

前歯を下唇の少し内側につけ、瞬間的に摩擦させます。/f/は息だけを吐き、/v/は摩擦と同時に喉から音を響かせます。

例:friend [frɛnd]

例:visit [ˈvɪzət]

/r/ と /l/

/r/を発音するには、唇をしっかり丸めた状態で、舌先を口の天井に付けないように少し丸めて、喉の方向に引きます。

例:right [raɪt]

例:work [wǝrk]

/l/を発音する時は、舌先を前歯の裏側の生え際に付け、音を喉の奥で響かせながら、強く舌を弾くのが/l/の音です。

例:public [ˈpʌblɪk]

例:little [ˈlɪtəl]

/t/ と /d/

舌を上顎に付け、日本語の「タ」行の口の形をとり、瞬間的に破裂させます。

/t/は破裂とともに息だけを吐き、/d/は破裂と同時に喉の奥から音を響かせるのがポイントです。

例:content [ˈkɑntɛnt]

例:children [ˈʧɪldrən]

/θ/ と /ð/

舌先を、上下の歯から少し出るくらいの位置に置き、舌を引きながら摩擦させます。/θ/は摩擦させるときに息だけを吐き、/ð/は摩擦と同時に喉の奥から音を響かせるのがポイントです。

例:math [mæθ]

例:with [wɪð]

/w/

唇をしっかりと丸め、息を多めに出しながら両方の唇を振動させます。日本語の「ウ」にならないように注意しましょう。

唇をしっかりと丸め、息を多めに出しながら両方の唇を振動させます。日本語の「ウ」にならないように注意しましょう。

例:would [wʊd]

例:everyone [ˈɛvriˌwʌn]

/j(y)/

まず日本語のヤ行のマウスポジションを取り、舌の両側が上の歯の生え際に付いて、舌の中央が盛り上がるのを感じてください。その状態で、息を多めに出しながら力を込めて発音します。

例:use [ju:z]

例: young [jʌŋ]

英語の発音を良くするおすすめの勉強方法

正しい発音知識に基づき、次は実際に自分でその音を再現できるように練習を行いましょう。正しい英語の発音が自然とできるようになるための具体的な勉強方法を紹介します。

音読やリピーティングで声に出して練習する

英語の発音を良くするための最も基本的で効果的な英語の発音練習法は、まず声に出して練習することです。英語音声とスクリプトを用意して、音読やリピーティングを行います。

実際に発声することで、英語の発音で動かす唇や舌、表情の筋肉を鍛えることができます。最初は正しく発音しようとするとプルプルするかもしれませんが、疲れたら休憩しましょう。慣れると脱力していても口の形を作れるようになります。

また、ネイティブスピーカーの英語音声を真似することで、単語の正しい発音だけでなく、自然なリズムやイントネーションを習得することができます。自分の声を録音してお手本と聞き比べることで発音のセルフチェックを行いましょう。

アルファベットの音「フォニックス」を学ぶ

フォニックスとは、発音と文字の関係性を学ぶ学習法です。各アルファベットの発音とともに、アルファベットの組み合わせがどのような音を出すのかを学びます。また、初めて見る英単語でもスペルから検討をつけて発音でき、正確な発音とスペリングの習得にも繋がります。

英語のフォニックスについては、こちらの記事で各アルファベットの音を詳しく解説しています。

海外のドラマやYouTubeチャンネルを観る・聴く

海外のドラマやYouTubeチャンネルを観ることで、実際の会話に近い形で英語を聞くことができます。

また、一般的なリスニング教材ではカットされていますが、実際に話される英語は、現場の雑音が混ざっており、また話し手もプロのナレーターではなく、言葉に詰まって途中から言い直すこともあるでしょう。

こういった、教科書では学べない「生きた英語」に触れておくことは、自然な発話速度やリアルな状況での英語の使用、地域によるアクセントの違い、ネイティブがよく使う表現や略語などを学ぶのに有効です。

YouTube動画では、世界中の英語にアクセスできますので、自分が目指したいアクセント、慣れておきたい現地のアクセントにたくさん触れておきましょう。

発音矯正コーチングで効率的に英語学習を進める

発音矯正コーチングは、英語・発音学習のプロから発音指導を受けることで、特定の発音の問題点を効果的に改善する方法です。プロのコーチから「正しく発音できているか」「改善すべき発音はどれか」「具体的にどのような練習を行うべきか」など、適切な指導とフィードバックが提供されます。

発音矯正コーチングは、受講生一人ひとりのニーズや発音の問題点に合わせて、カリキュラムがカスタマイズされるため、最短で正しい発音を習得できます。

MeRISE社の発音特化型英語コーチングサービス「ハツオン」では、TESOL修了のプロ英会話講師のレッスンに加えて、日本人コーチが学習法をアドバイスし、目標達成まで伴走します。

英語スピーキング勉強法に関するよくある質問

英語の聞き流しは発音練習や聞き取り練習に効果的でしょうか?

聞き流しのみでは発音練習や聞き取り練習には不十分です。集中して聞き取りを行うリスニング練習と、実際に声に出して発音する練習を取り入れましょう。

英語の聞き流しは、8割以上理解できる内容のものであれば、語彙力強化やアクセントのさまざまな英語への慣れなどの効果が期待できるとされ、一部上級者の間では積極的に取り入れられています。ただし、母国語話が現地で経験するほどのインプット量を積み上げていく必要があるため、短期での成長や試験対策にはあまりおすすめできません。

発音が上達する期間の目安を教えてください。

発音が上達するまでの期間は、受講生それぞれの現状のレベルと目標とするレベルの差、1日に設ける学習時間と学習頻度、身の回りの環境などによってまちまちです。

MeRISEの発音特化型英語コーチングサービス「ハツオン」は、週に2〜3回のレッスン、週に1回の日本人トレーナーとの面談と、自主トレーニングで構成されています。

1日90分の自主学習を行った人もいれば、「1日5分でもいいから毎日行う」と決めていた人もいますが、いずれの学習スタイルにせよ、発音学習を継続した受講生は、全員2ヶ月間で英語の発音において満足のいく変化を実感しています。

発音記号は覚える必要はありますか?

英語の発音記号を覚えること自体は、発音の上達に直結するわけではありませんが、発音記号を意識して発音学習を続けると、ネイティブにも通じる標準的な英語発音が身に付きます。

また英単語の発音は耳から学ぶこともできますが、英語には日本語にはない音が多く、日本人の場合は、先に発音記号を一気に覚えてしまった方が発音の上達が早いと考えられます。

読み上げサイトや翻訳アプリの発音は教材として使えますか?

英語の読み上げサイトや自動翻訳アプリは、新しい単語の発音をチェックしたり、自作した英文がどのように発音されるかチェックするためのツールとして使うことができます。

しかし、いわゆる「生きた英語」ではないため、話し手の感情やシチュエーションに左右されるイントネーションや強調などは再現されないため、棒読みのフラットな英語発音になってしまいます。発音練習の教材としては、自分が目指したい英語がお手本となるものを選びましょう。

正しい英語の発音を最短習得するなら発音コーチングがおすすめ

本記事では、英語の発音を正しく習得するために必要な考え方や具体的な勉強方法についてお話しさせていただきました。

英語の発音を良くするための条件として以下3点を押さえ、トレーニングを継続していきましょう。

  1. 世界で話される多様な英語の発音に触れる
  2. 英語の発音ルールを正しく学ぶ
  3. 声に出して発音練習する

また、発音学習に集中して取り組みたい、発音に不安を抱えることなく次のステップに早く進みたいという方は、発音矯正コーチングを受講するのも手段の一つです。

専門の発音コーチは、個々の学習者の発音の問題点を特定し、改善するように的確に指導してくれます。また、学習者のペースを尊重しながら、課題やニーズに沿ったカリキュラムや練習メニューを組み立ててくれるため、時間の無駄なく効率的に学習を進めることが可能です。

MeRISEの発音特化型英語コーチングサービス「ハツオン」は、国際的な英語教授法である「TESOL」の公認トレーニングを受講・修了したプロ英会話講師によるレッスンに加え、日本人コーチによるコーチングを受けることができます。

受講者は、まったくの英語初心者から中上級者までさまざまですが、2ヶ月間のオーダーメイドカリキュラムを終えた受講生は、全員が自身の発音ならびにスピーキング力の向上を実感しています。

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