
英語の発音がいい人の特徴とは?無意識での経験や練習法に上達のヒントがあった
目次
英語の発音がいい人が話す英語の特徴3つ
聞き手にとって理解しやすく、聞き取りやすい英語を話すために不可欠です。また、これらのスキルは日常的な練習や模倣、さらには継続的な学習を通じて向上させることができます。
まず「発音がいい英語とは?」を明確にしておくと、ずばり「聞き手が理解しやすい英語」です。相手がネイティブか非ネイティブかによらず、あらゆる人に伝わる標準的な英語を話せている人は、下記3つの特徴を共通して持ち合わせています。
- 日本語には無い音が正確に発音できている
- 英語の自然なリズムと音声変化が再現できている
- 大きな声でハッキリと話している
※本来、相手がストレスなく聞き取れる英語を話せているかどうかは、その人の文法力や単語力(表現の幅)も影響するものですが、今回はこれらが一定水準をクリア満たしているとし、残りの伝わりやさ要素となる発音に着目します。
1. 日本語には無い音が正確に発音できている
英語には、日本語には存在しない音が多数あり、日本語の母音「あ」に近い音だけで既に下記4種類あります。
- /æ/(例:apple [æpl])
- /ʌ/(例:up [ʌp])
- /ɑ/(例:want [wɑnt])
- /ǝ/(例:support [səˈpɔrt])
たとえば ”apple [æpl]” は可能な限り近い発音をカタカナで表現するならば「エァポ(ゥ)」のようになります。
これを、日本語にある音だけで「アップル」と発音してしまうと、実際の単語とはかけ離れた音になり、ネイティブにも非ネイティブにも伝わりません。(この癖を知っている日本人だけが「アップル=apple」と認識できます。)
子音に着目しても ”th” “v” ”r” “l” のように日本語に無い音は複数ありますが、英語の発音のいい人は、こういった日本人に馴染のない音素を多くマスターしている傾向にあります。
2. 英語の自然なリズムと音声変化が再現できている
英語特有のリズムや音声変化を習得しているのも「発音のいい人」によく見られる特徴です。このリズムと音声変化は、いわゆる ”英語っぽさ” を演出するだけでなく、伝わる英語を話すために避けては通れない重要な要素ともなっています。
英語の発音は、日本語にはないリズムや音声変化を伴うものが多いです。英語は、単語内やフレーズ内の特定の音節にストレス(強勢)を置き、ストレスが置かれた音節を長く、それ以外の音節を短く発音することで、メリハリのあるリズムを生み出します。
英語と日本語で、「cake(ケーキ)」という単語の音を比べてみましょう。
- 英語:’keɪk(ケィク)⇒ 1音節
- 日本語:’ke’e’ki(ケ/エ/キ)⇒3音節
さらに、複数の単語が連続するフレーズや文章となると、単語と単語をつなげて発音する「リンキング(連結)」や、もともとある音を一部省略・弱化する「リダクション(脱落)」といった音声変化が発生します。
私たち日本人にとって馴染みが無く再現しづらい音の現象ばかりですが、このリズムと音声変化をモノにすれば一気に伝わりやすい英語に変わります。いくつかの母音子音の発音が少し曖昧でも、文脈に沿って強制とリズムを使いこなせていればコミュニケーションが成立することもあります。
3. 大きな声でハッキリと話している
自分の英語に自信がないとボソボソと小さな声で話してしまいがちですよね。英語の発音がいい人は自信を持って大きな声でハキハキと話しています。
と言うと「声が大きいだけで?」という疑問が出てきますが、英語を明瞭に発音するには、しっかりとした発声と口の動きが必要です。
実のところ、ネイティブスピーカーは、話す際にリラックスさせた喉を大きく震わせたり、息を勢いよく吐き出したりと、日本語を話す日本人とは声の出し方や息遣いがまったく異なります。日本語のようにフラットで籠り気味の話し方をしてしまうと、相手に伝わる英語の発音になりません。
単に声量を大きくすれば発音が良くなるわけではありませんが、喉の奥から発声しようとすると太く響きやすい音が出るため、結果として発音がいい人は大きめの声になっていることが多いのです。
英語の発音がいい人が(無意識に)やっていること
英語の発音の良さは、才能よりも練習の量と質に左右されるものと考えられます。留学経験があるわけでなく、学習歴も同じくらいなのに、周りよりも「発音がいい人」というのは、下記のようなバックグラウンドがあるかもしれません。
- 良質なリスニングを豊富に経験している
- 発音練習を単語だけでなく英文で練習している
- 喉から太く深みのある音が出せている
本人は無意識のうちに行っていたり、勉強とは捉えていなかったりするかもしれませんが、いずれも良い発音の習得には効果的です。同時に、これらを意識して練習することで誰もが良い発音を習得しやすくなるということになります。
良質なリスニングを豊富に経験している
ネイティブスピーカーや適切な速度で話される良質な音声に多く触れ、英語の音やリズム、イントネーションなどのパターンを自然と身につけ、発音時に再現しやすくなります。
発音のいい人は、自身の趣味の範疇で、ポッドキャストやYouTubeでお気に入りの番組を持っていたり、海外ドラマを日常的に観ていたりと、さまざまなメディアを利用してリスニングの経験を積み、無意識のうちに良い発音のモデルが脳に記録され、スピーキングの際に模倣する基準となっていたのではないでしょうか。
もちろん正しい音を聞く(インプット)だけでなく、実際に発声して再現する(アウトプット)練習も重要ですが、たくさんのインプットを経験するほど、良質な発音へのアウトプットが改善される傾向があります。
発音練習を単語だけでなく英文で練習している
発音の基礎を築く上で、個々の音素(発音記号)から学び、単語単位で練習することは重要です。しかし、実際に話す際には、それらの単語をぶつ切りで一つずつ発音していくわけではありません。
単語の音の並びや文脈によって音声変化や強弱がさまざまに起こることを想定すると、単語だけでなく文単位やフレーズ単位での発音練習にも取り組むべきです。
英語の発音がいい人は、周りの人よりも自然な会話の流れやリズムを習得している傾向が見られますが、覚えたい単語を例文やフレーズごと繰り返し練習したり、実際に話したい内容を英作文して呟いたりといったことを日頃から習慣付けていたりするものです。
喉から太く深みのある音が出せている
英語を話す際には、胸の響きを使ったり、声帯をしっかりと震わせたりすることで、豊かで深みのある音を出すことが重要とされます。英語圏では声が低い方が「教養がある」「頼りがいがある」という印象を持たれる傾向があり、ネイティブでもトレーニングを通じて矯正することもあるようです。
口元や喉周り、横隔膜は身体の一部(筋肉)ですので、英語に適した呼吸法や発声法はトレーニングを通じて習得することができます。
しかし、日本人であっても、普段ボイストレーニングをされている方や、もともと声に深みがある男性の方は、英語を話すのに適した声帯周りの筋肉を既に持ち合わせていることがあるのです。この点は、本人も知らないアドバンテージかもしれません。
今から「英語の発音がいい人」になる基本3ステップ
英語の発音がいい人が話す英語や行動には、発音上達に結びつく一貫した特性や練習の傾向があるものの、基本的な上達のプロセスは周りの純ジャパと何ら変わりありません。
- 英語の母音と子音を学ぶ
- 英語の音声変化ルールを学ぶ
- 話したい内容の英文を声に出して練習する
英語の発音がいい人の才能を挙げるとすれば、上記のステップを無意識下で効率的に実践していたことでしょう。
1. 英語の母音と子音を学ぶ
まず、英単語の音を作るベースとなる「英語の母音と子音」を押さえておきましょう。ここは最初に習得しておかないと、自分で英単語を発音したり、スペルや発音が似ている聞き分けたりするのが難しくなります。
アメリカ英語の場合、英語の音素は母音16・子音24の計40個あり、日本語の音素19個(母音5・子音14)の2倍以上ありますが、日本語に存在する音や近い音もあり、また子音は有声音と無声音のペアで覚えられたりもしますので、思っているほど多くはないかもしれません。
各母音子音の単語例や出し方のコツについては「英語の発音記号一覧|発音のコツを音声付きで解説」をご覧ください。
2. 英語の音声変化ルールを学ぶ
英語の発音には、単語の組み合わせや文脈の中で音が変化するさまざまなルールが存在します。理解しやすい自然な英語のリズムや速度を習得するには、まず基本的な音声変化ルールを認識し、自分で使いこなせるようにしておくことが重要です。
国や地域ごとに異なる細かい癖を含めると100パターンを超えるという研究もありますが、どのような相手にも伝わる標準的な英語を話すには、一旦以下の5パターンを押さえておけば大丈夫です。
- ストレスを置かれた音節は強く発音する(単語のアクセント)
- 単語と単語を連結して発音する(リンキング)
- 単語にもともとある音を発音しない(リダクション)
- 重要な単語を強く長く発音する(フォーカスワード)
- 特徴的な音声変化をするアメリカ英語の/t/(フラッピングなど)
世界でさまざまな英語が飛び交う中でも、上記の共通する基本の音声変化ルールを押さえておけば、個性として癖や訛りがありつつも、きちんと相手に伝わる発音で通じる英語を話すことができます。
5つのルールについては、「英語の発音を良くするには?伝わる5つの発音ルールと練習方法」で詳細に解説していますので、ぜひご参照ください。
3. 話したい内容の英文を声に出して練習する
発音に関する知識を十分に蓄えていても、実際にその音を自分で出せるとは限りません。やはり理論だけでなく、実践的な練習が必要となります。
実際に会話で使いたいフレーズや、日常的な表現、あるいはビジネスシーンで頻繁に使う専門用語など、具体的なコンテキストに基づいた練習が効果的です。繰り返し練習することで、口と舌の筋肉の記憶を作り出し、スムーズな発音ができるようになります。
ただし、英語を正しく発音しようとすると、これまで日本語を話す際には使ってこなかった筋肉(口元や喉周り)を動かすことになるため、最初は頭の中でやりたい動きがあっても思い通りに再現できないかもしれません。
フィットネスの筋トレと同じく、今日明日で筋肉が急に発達するということはなく、コツコツと続けて緩やかに成長していくものなので、「ある程度の時間は必要」と心得て、疲れたら休みつつトレーニングを継続しましょう。
声に出して発音練習する具体的な方法とは?
声に出して練習する基本的な方法として、まず英語音声とスクリプトを用意して行う「音読やリピーティング」が挙げられます。習慣化ができれば、以下にご紹介する発音学習も取り入れるとよいでしょう。
発音に一貫性のある英語リスニング
アメリカ英語やイギリス英語だけがネイティブというわけではなく、世界ではさまざまな英語が話されています。そのことを前提に多様な英語に触れておくことはもちろん重要なのですが、自分が話す際には発音の癖やアクセントなどに一貫性を持たせた方が、相手は聞き取りやすくなります。
ですので、音読やリピーティングでアウトプット練習を行う際には、同じ教材を続けて使ったり、同じドラマ内の特定のフレーズを模倣したりするのがおすすめです。何度も繰り返し練習することによって、一貫性のある発音、アクセント、イントネーションを習得しやすくなります。
一方で、インプットを学習を行う際には、特に気にする必要はなく、映画、音楽、ポッドキャスト、オーディオブックなどから新しい経験をどんどん取り入れましょう。お気に入りの番組や興味のあるテーマであれば苦痛なくインプット学習を行えますし、英語のニュースを聞けば、よりフォーマルな発音を学ぶことも可能です。
発音特化の英語コーチングや発声指導の受講
発音に特化した英語コースやコーチングを利用するのも一つの選択肢です。専門家の指導によって、舌の位置や口の形、息の使い方など、発音に必要な物理的な動作を詳細に学べます。
個々の問題点を把握し、弱点や学習ペースに合わせてカリキュラムが作成されるうえ、正しい方法・手順でトレーニングを受けることができるため、時間の無駄なく効率的・計画的に正しい発音を習得していくことが可能です。
おすすめの発音特化コーチングについては、「オンライン対応の英語発音矯正スクール5選!独学におすすめのアプリも紹介」をご参照ください。
発音練習ができる英語アプリの活用
最近は、発音学習のアプリやオンラインサービスも数多くリリースされています。ユーザーの発音を録音してネイティブの発音と比較したり、AIを利用した音声認識技術によって自分の発音のどこが間違っているかを可視化したり、発音を改善するための機能が揃ったアプリです。
一部のアプリでは、個々の音素(母音子音)を正確に発音できるように指導したり、口や舌の動きをビジュアルで示してくれるものもあります。
こういった機能によって、自己学習でも正しい発音の練習が可能です。また、アプリならではの特徴として、スマホのリマインダーで継続的に練習できること、場所を選ばずにスキマ時間でも練習できることなどが挙げられます。
英語の発音がいい人の特徴に関するQ&A
最初から英語の発音がいい人が持つ能力とは?才能ですか?
英語の発音が最初から良い人は、音を聞き分けたり、模倣したりする能力が才能の一部として備わっていると考えられることもあります。
しかし、多くのケースでは、幼少期から遡って英語に触れる経験をしていたり、音楽などを通じて別のところで発声法やオーディオスキルが発達していたりなど、知らず知らずのうちの経験が積み重なって磨かれたもののようです。
英語の発音がいい人は、個人差はありつつも、効果的な学習方法や一貫した練習を見えていないところで、または本人の無意識下で積んでいるというのが実情です。
歌が上手い人は英語の発音も良いというのは本当ですか?
歌唱と発音は異なるスキルであるため、必ずしも直接的な関連があるわけではありませんが、音程やリズムをコントロールする能力や、声帯や口腔を使って音を作り出す技術は、英語の発音に必要なリズム感や音の強弱、イントネーションなどの言語的リズムをより感覚的に理解しやすくはなるでしょう。
英語の発音がいい人でも日本語訛りはあるのでしょうか?
英語の発音が良い日本人であっても、母国語である日本語のアクセントや発音の特徴が英語に影響を与えることはあります。
特に、英語にない音やリズムを日本語の発音ルールに基づいて発音する傾向がある場合、訛りとして表れることがあります。しかし、意識的な練習や発音指導を受けることで、日本語訛りを減らし、よりネイティブに近い発音を獲得することは可能です。
誰にでも伝わりやすい標準的な英語の発音・アクセントを習得し、その先どこまでネイティブに近づけるかは個人の目標に委ねられます。