
英語できないのに海外出張!限られた時間でやるべき準備と対策
目次
英語ができない人でも海外出張の準備は入念にできる
まず前提として、本記事では、理想的な英語学習方法を解説するのでなく、海外出張の成功を目的とした「限られた時間での準備と対策」に焦点をあてています。
本来、急な海外出張でも通用する英語力を養うには、単語・文法・発音という基盤を固めたうえで、読み書きをはじめ、リスニングやスピーキングの実用技能をバランスよく鍛えていくのが正攻法です。
もちろん海外出張にアサインされた本人からしても英語力を十分に高めて挑みたいところだと思いますが、もう日程が決まってしまっている以上は、今から当日までできる限りの準備をしておくしかありません。
英語力ゼロから、短期間で言いたいことを英語で話せるようになるのは難しいですが、あらかじめ伝えることを英訳しておいたり、使い勝手の良い翻訳アプリを見つけておいたり、よく使うフレーズ帳を作っておいたりと、海外出張のトラブルを回避しなはら成功の可能性を高める準備であれば現状の英語力に寄らずいくらでもできます。
【英語できない人向け】海外出張の準備を5ステップで進める
英語力は一朝一夕で向上しないことがわかっているなれば、海外出張までに何ができるかを冷静に整理してコツコツと準備をすすめていくのみです。
ここでは、「英語ができない(と思っている)人」「英語に自信がない人」が、海外出張に向けてやるべきことを優先順位の高い順に解説します。
- 海外出張の目的とミッションの明確化
- 英語を使う場面を想定し、あらかじめ英作文して練習する
- 相手の英語を理解するリスニング力の改善は単語から
- 職種特有の専門用語や言い回しは押さえておく
- 英会話を一度は体験しておく(余裕があれば)
1. 海外出張の目的とミッションの明確化
最初に明確にしておくべきことは、「今回の出張で自分に課せられたミッションは何か?」という「海外出張の目的」です。目的に基づいて必要な準備をリストアップし、それに沿った計画を立てます。
他の誰でもなくあなたが今回の出張にアサインされたのは、あなたに期待される何らかの成果があるということでしょう。
たとえば、欧州の展示会で人脈発掘をするのか、顧客を訪問して製品の使用状況や満足度を調査するのか、現地の技術者では解決できない不具合の原因解明をしにいくのかといったことです。
英会話の勉強をしに海外出張に行くのでなく、任務完遂のために英会話が必要となる場面があると考えましょう。
2. 英語を使う場面を想定し、英作文して話す練習をする
次に、海外出張の目的やスケジュールに沿って、どういった場面で英語を使うことになるのかを想定し、実際に使う可能性のあるフレーズや会話のシナリオを書き出して、声に出して話す練習をしておきます。
その場で英作文はできないものとして、伝えるべきことが決まっているものは確実に準備し、プレゼンテーションをするのであれば、想定される質問と回答まで英文を揃えておくのが理想です。(下記例)
- “What makes your product different from existing solutions on the market?”(市場の既存製品と比べた際、この製品の特徴は何になりますか?)
- “Our product stands out due to its unique combination of efficiency and eco-friendliness. Unlike other products, it uses advanced technology to reduce energy consumption while maximizing performance.”(当社製品が抜けているところは、効率性と環境に優しいという独自の組み合わせです。他の製品と異なり、パフォーマンスを最大化しつつ、エネルギー消費を減らす先進技術を使用しています。)
空港やホテル・レストラン、雑談で使うフレーズは覚えておくと便利ですが、ここでは、業務で必要になるものから優先的に準備していきます。
3. 相手の英語を理解するリスニング力の改善は単語から
自分が話したいと考えていることは出張前に準備していくことができますが、実際には一方的に話すだけでなく、相手の話を聞いて理解しなければコミュニケーションとして成り立ちません。
となると、海外出張ではリスニング力も求められます。海外出張までの短時間で可能な限り聞き取りを強化するのであれば、まずは単語を押さえておくことをおすすめします。
もちろん文法や音声変化の理解なども重要なのですが、相手の発する単語さえキャッチできれば、その時の話題や状況から何とか相手の言っていることについていけるかもしれません。自分が話すときも英単語が出てこないことには、ひとまず羅列することさえもできないのです。
⇒英語が聞き取れない5つの原因と対策!リスニングを伸ばす勉強法も解説
4. 職種特有の専門用語や言い回しは押さえておく
また、一般的な基本単語だけでなく、自身の職種まわりの専門用語や自社固有の名称や重要ワードは、事前に英訳を調べておきましょう。
たとえば、生産工場の視察に行くのであれば、下記のような動作は日常的に使われています。
- Unscrew(ネジを外す)
- Start the engine(エンジンを起動する)
- Adjust the mode to level 2(モードをレベル2に調整する)
製品や部品の名称は、英語版の取扱説明書や海外カタログからも確認できますので、出張中も手元に置いておくといいでしょう。
5. 時間に余裕があれば、英会話を一度は体験しておく
もし今まで一度も英語でコミュニケーションを取ったことがない方は、対面でもオンラインでもいいので、海外出張前に英会話を経験しておいた方がいいかもしれません。いくら英語を勉強して入念に準備をした方でも、初めてのコミュニケーションとなると足がすくんでしまうものです。
ビジネスの場に着く前に、空港やホテルでも英語を使う機会はあるのですが、できる限りの場数を踏んでおくに越したことはありません。英語を話す練習にもなりますし、オンライン英会話の無料体験レッスンを何社か活用してみるといいでしょう。
海外出張でのコミュニケーションを無事に乗り切るための注意点
さて、いくら準備をしてもしきれない海外出張ですが、現地に降り立てば、とにかく持ち合わせの英語力で無事に乗り切るしかありません。ビジネスコミュニケーションにおける注意点としては下記の3点です。
- 英語のわかったふりは信頼を失う
- 英語に不安があっても内容には自信を持って話す
- 英語ができないことを相手にアピールしすぎない
繰り返しになりますが、海外出張の任務やゴールを見失わないようにしましょう。英語は帰国後に勉強しはじめることもできます。英語力よりもビジネスの目的を最優先に考える
1. 英語のわかったふりは信頼を失う
世界で話される英語は、リスニング教材のような雑音のないナレーションとはかけ離れたものです。相手が英語のネイティブスピーカーとも限らないので、聞きなれないアクセントの英語を話す方もいるでしょう。
英語のリスニングが得意な人でも、現地の英語に慣れるまでは聞き取りにしゅうちゅうしなければならなかったり、ネイティブ同士でも出生地が違えば(たとえばカナダとオーストラリアなど)、お互いに聞き返したりすることもあるようです。
もし理解できない部分があった場合は、遠慮せずに何度も聞き返しましょう。聞き返すこと自体は失礼に当たりません。
- Could you repeat that, please?(もう一度言っていただけますか?)
- What was that? (何て言いましたか?(カジュアル))
- Could you explain that in simpler terms?(もっと簡単な言葉で説明していただけますか?)
どうしても理解したいからこそ、わかるまで徹底的に聞き返すのであり、そこでわかったふりで聞き流してしまうと、真意がわからないまま相手からの信頼をも失うことになります。
2. 英語に不安があっても内容には自信を持って話す
英語に自信がないとボソボソと小さな声で話してしまいがちですが、話す内容には自信を持って伝えることを意識しましょう。相手はあなたの英語力よりもビジネストークの内容に興味があります。
あなたの話す内容を理解したいから、不格好な英語でも聞こうとしてくれるのです。自信なさげに話していると、(そもそも声が小さいと聞こえないのもありますが、)あなた自身への興味も失われてしまいかねません。
3. 英語ができないことを相手にアピールしすぎない
英語力に関する過度な自己卑下は、プロフェッショナルな印象を損なう可能性があります。聞き取れなかった場合は、前述しましたが、”Could you speak a bit slower, please?”(もう少しゆっくり話してください)のみで十分です。
これに以下のような枕詞を付けて、「英語が苦手なので、ゆっくり話してください」と強調して言わないようにしましょう。
- “My English is really bad.”
- “I’m not good at English.”
英語がどのくらいできるかは、少し話せばすぐに判断できます。そこで「英語が苦手なので…」とわざわざ言ってしまうと、うまくコミュニケーションが取れない言い訳のように感じられるのです。
相手が早口で話し始めても、自分は慌てずにゆっくりと話します。相手に聞こえない声量でボソボソ話すのではなく、「こちらが大事な話を第二言語で話しているのだから、そちらも理解しようと努力してください」くらいの心持ちで自信を持って話しましょう。
海外出張までに最大効率で英語力を高めるポイント
海外出張を機に英語を頑張って勉強してみよう、まだ時間があるので可能な限り英語力を高めておきたいという方は、以下のポイントも参考に学習を進めてみてください。
- スピーキングよりもリスニングに重きを置く
- ビジネス英語やメールは一旦諦める
- 短期集中型の英語スクールやコーチングを利用する
最善の取捨選択は、現状の英語レベルだけでなく、海外出張までの日数や1日あたりに確保できる学習時間によっても変わってくるのですが、今回は1週間~2ヶ月弱の短期で何ができるかを重視しています。
スピーキングよりもリスニングに時間を割く
言いたいことがあるのに口から英語が出てこないというのは、初心者だけでなく中級者以上になっても起こります。そういった状況では「うわー単語をド忘れしました。ちょっと待っていただけますか…」と話を繋ぎつつ一部の単語を調べたり、別の言葉で言い換えたりして相手に伝え、また会話が続いていくのです。
一方で、相手が話す英語を聞き取って理解できなければ、何の反応もできず会話がそこで終ってしまいます。同じ「英語が話せない」という状況でも、そもそも言いたいことがあるのと無いのとでは異なります。
ですので、海外出張の準備期間においては、スピーキングよりもリスニングを優先することをおすすめします。リスニングの勉強方法については、下記の記事もご参照ください。
⇒英語が聞き取れない5つの原因と対策!リスニングを伸ばす勉強法も解説
スピーキングは、話そうと決めている文章を何度も声に出して練習しましょう。英語のフレーズを自分の口に馴染ませるとともに、余裕があれば発音学習も意識して改善していきたいところです。正しい発音を身につけることで、これまで聞き取れなかった英語の音が認識できるようになり、リスニング力も大幅に向上します。
ビジネス英語やメールは一旦諦める
海外出張までの短期間で英語学習を行う場合、ビジネス英語が使えているかどうかの考えは一旦捨てましょう。
もちろんビジネス上で好ましい言い方というものはあるのですが、おそらくこの記事に辿りついた方は、英語を話すこと自体が大きなハードルであるはずなので、まずはそれをクリアすることを優先しましょう。
よほど意図的に態度で示したりしない限り、固い丁寧な言い方ができていなくても失礼に捉えられたりすることはありません。もし日本語にトライしてくれている海外からの出張者がいたら、それに対していちいちビジネスの話を遮ってまで敬語や文法的な指摘をしたりはしませんよね。
また、メールや報告書などのビジネス文書の作成はAIに任せることが可能です。たとえば日本語で要件をまとめてChatGPTに渡せば、ビジネスライクな文書を英語で出力してくれます。自分で考えるよりも早く正確ですし、それよりも現地で使える英語力を向上させるために時間を使いましょう。
短期集中型の英語スクールやコーチングを利用する
最近はニーズの増加もあり、直前に迫った海外出張から海外赴任の準備まで、英会話スクールやコーチングサービスで短期集中コースを導入しているところが増えてきているようです。
最短1週間から受講できるものも多く、達成したい目的に対して必要なスキルや領域に焦点を充て、短期間で効率的に英語力を伸ばすことができます。
受講者に専属のトレーナーが付く英語コーチングは特におすすめです。目標設定からカリキュラム作成、弱点分析とトレーニングの指導、さらには日々のタスク管理までサポートを行ってくれるため、受講者は毎日指示通りのメニューを実行するだけで目標を達成できるようになっています。
短期集中コースのある英語スクール(最短1週間から)
海外出張に役立つ短期集中プログラムの一部をご紹介します。さらに、自分に適したスクールの選び方や短期集中学習への取り組み方については、下記記事もご参照ください。
⇒短期集中型の英語スクール・コーチング10選!目的別の選び方
1. ミライズ留学|1日3時間の短期プランを1週間単位で受講可能
ミライズ留学は、10,000人を超える社会人の英語学習をサポートしてきたMeRISEが提供するオンライン留学サービスです。一人ひとりにあった完全オーダーメイドカリキュラムと、経験豊富な講師陣によるマンツーマンレッスンで短期集中で英語力の向上を実現します。
日常英会話もビジネス英語も1週間からの受講が可能です。1週間なら英語に時間を割けるという方におすすめします。
ミライズ留学の費用・料金プラン
MeRISEのサービスをはじめて利用する方は、入会金33,000円(税込)がかかります。
英語学習に集中できる環境を確保できる方を対象とした「1日6コマ・通常プラン:80,000円/週(税込)」と、仕事と英語学習を両立して英語学習時間を確保したい方を対象とした「1日3コマ・半日プラン:53,000円/週(税込)」の2つのプランをご用意しています。
2週間目以降の受講は上記金額より▲11,000円/週がお得になります。
2. ハツオン|誰もが圧倒的変化を体験する発音特化コーチング
ハツオンは、同じくMeRISEが運営する発音特化の短期コーチングサービスです。膨大な受講生データと日本人の発音の特徴を分析し、ネイティブに近づける最短ルートのプログラムを開発しました。
受講生のレベルやニーズに合わせて作成するカリキュラムには、週2〜3回の講師との50分のレッスンに加え、週1回の専属日本人トレーナーとの面談、1日5分〜1時間程度の自主学習が含まれています。
2ヶ月という短い期間で、英語初心者から中上級者まで誰もが「ネイティブにも通じる」「彼らの英語が聞き取れる」といった変化を体験しています。
ハツオンの費用・料金プラン
ハツオンの料金は、入会金33,000円・料金242,000円(ともに税込)の一律料金。英語初心者の方を対象とした「イングリッシュスタートプラン」と、発音学習は未経験という方を対象とした「ネイティブマスタープラン」の2つのプランをご用意しています。
また、発音上達の第一歩を安心して踏み出していただくため、「成果保証制度」を導入。2ヶ月のプログラム完了時点で成果にご納得いただけないときは、ハツオン2ヶ月を無料でご提供します。
3. ベルリッツ|最短1週間から受講できる英語漬けの集中講座

出典:ベルリッツ
Berlitz(ベルリッツ)は、世界70以上の国・地域に拠点を構えるベルリッツが運営する英会話サービスです。日本国内を含め、世界中で2万社以上もの企業や団体に導入されており、その中で「英会話 短期集中コース」では丸一日かけて英語のみで行われるレッスンを継続し、1~3週間の短期間で確実な上達を目指します。
日本人カウンセラーが、目的と期限に合わせた学習プラン(最短で1週間で集中的に受講や、週3回会社の後に受講など)を提案。想定される状況で実際に使うことの多い英語を、経験豊富な教師によるマンツーマン指導で特訓します。
ベルリッツの費用・料金プラン
「英会話 短期集中コース」の料金についてはお問い合わせください。
「海外出張 X 英語」に関するよくある質問
海外出張に英語力はどのくらい必要ですか?
これは出張中における自身の立ち位置や業務内容、現地のコーディネーターの有無などによって、英語が必要な場面や頻度、求められる語彙力も異なります。まず海外出張の目的や課せられた任務から、どういった場面で英語力が求められるのかを想定して準備を進めましょう。
一度きりの海外出張でも英語学習は必要でしょうか?
もともと英語が苦手で出張が迫っているのに勉強をつい後回しにしてしまうという方は、スマホアプリの音声入力&翻訳機能を使うか、POKETALK(ポケトーク)などの翻訳アイテムを持参しておくと、意思疎通が全くできない状態に陥ることはないでしょう。
ただし、コミュニケーションに時間差ができるため、相手によっては嫌がられるかもしれません。自分の言葉で伝えようとしているかどうかで印象も変わり、ビジネス上での信用にも影響するため、あいさつや簡単なフレーズから全部を翻訳機に通すのはおすすめしません。